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虫垂炎

2015/5/1

今回のテーマは虫垂炎です。世間では盲腸と言われますが、盲腸というのは大腸の最初の部分を指します。盲腸からちょこっとくっついている虫垂が炎症を起こして痛みを起こすので虫垂炎と言います。ちなみに正常な虫垂はボールペンの芯くらい(3~4mm)の太さをしていますが、炎症を起こした虫垂は10mmくらいに腫れます。

小学生後半から中学生、大人になっても発症しますが、何故かそれより小さい子供、赤ちゃんなどが虫垂炎になるのはまれです。ただし、絶対に起きないというわけではありません。

症状としては、典型的にはみぞおちの辺り、臍へそより上の方が痛いことから始まって、その痛みが徐々に右下の方に移動してきます。虫垂は臍と右の腰骨の間にあることが多いのでその部位が痛くなります。場合によって、虫垂がおしりの近くに回っていたり、背中の方にあったり。色々な部位が痛くなる可能性はあります。

痛みが起き出すと半日から1日で症状は急に悪化します。2~3日かけて徐々に痛くなると言うことはほとんどありません。「何となくお腹が痛くなってきたから来週病院へ行こうかな」なんてことにはならないので、救急を受診されることがほとんどです。

軽症の虫垂炎(カタル性)では保存的加療を選択することがあります。俗に言う“薬(抗生剤)で散らす”というやつです。食事を取ると腹痛が悪化することがあるので、入院して点滴して抗生剤治療をすることをおすすめします。再発の可能性もあるので手術を希望される場合もあります。

中等症の虫垂炎(蜂窩織炎性)では基本的に手術をおすすめします。手術には昔ながらの開腹手術と腹腔鏡手術があります。腹腔鏡手術というのはお腹を二酸化炭素のガスで膨らませて、5~10mmの傷から細いカメラや鉗子(マジックハンドのようなもの)を挿入して、テレビモニターを見ながら手術を行います。最近は腹腔鏡手術(肝臓手術など)で死亡例がニュースになっています。虫垂炎に関しては腹腔鏡手術の方が広範囲を観察でき、洗浄も容易で、開腹手術より安全に操作が進められると考えています。ただし、腹腔鏡手術が継続困難な場合もまれにありますので、その場合は途中から開腹手術に移行することになります。

重症の虫垂炎(壊疽性)では周囲に膿瘍を形成していたり、お腹全体に膿が広がった汎発性腹膜炎という状態だったり、病態は様々です。各々の症例で、緊急手術を勧めたり、抗生剤治療を優先したり、状況によって治療も変わってきます。

<イラスト出典>・腸のしくみ
(https://kotobank.jp/image/dictionary/igakukatei/image/1442_2.jpg)

・虫垂炎
(http://www.ususus.sakura.ne.jp/053cecume.html)

小児外科 松田 諭