胆道閉塞症
2015/4/1
今回のお話は、生後2~3ヶ月の子どもの親に知っておいて欲しい病気、胆道閉鎖症についてです。
1万出生に約1人、1年間に日本中で100人くらいが発症する、非常に稀な病気です。稀ではありますが、1.診断が難しい(まず疑う事が大事)、2.日々の便の色が診断に重要、3.産院に入院している頃は症状が無く診断できない、4.発見が生後3~4ヶ月を過ぎると命に関わる病態があり得る、というのがお父さん・お母さんにこの病気を知っておいて欲しい理由です。
胆道閉鎖症の胆道というのは、肝臓で作られた胆汁を十二指腸に流す通り道です。胆道閉鎖の子はこの胆道が閉じている、たいていの場合は胆道全部が閉じているために、胆汁を排出できなくなります。 | ![]() |
生まれたばかりの子どもは黄疸があるのが当たり前です。これを生理的黄疸といいます。1~2週間で無くなることが多いのですが、低出生体重児や母乳で育っている子に黄疸が長引くことがあります。他にも新生児肝炎など黄疸の原因はさまざまです。健診などでも自然に良くなる黄疸が多いため、胆道閉鎖症を強く疑わない傾向があります。
そこで大事なのが便の色です。自然に良くなる黄疸では便の色は問題ありません。白い便が出ていると胆道閉鎖症を疑うきっかけになります。
『便色カラーカード』というのを見たり聞いたりしたことはあるでしょうか? 最近は母子手帳に入れる自治体が増えてきていますが、まだ全部ではないようです。母子手帳を見てみて、もし入っていなければ産科や小児科で聞いてみてください。 | ![]() |
<画像出典>
・胆道イラスト
(http://gansupport.jp/article/cancer/biliary_tract/2977.html)
・便色カラーカード
(http://www.townnews.co.jp/0112/2012/05/31/145953.html)
小児外科 松田 諭