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モルヒネについての誤った意識(質問集)~痛みを我慢しないでください~

2008/08/15

過去20年来、緩和ケアの専門家はモルヒネ系薬剤(ここではモルヒネと総称)が、がんの痛みの緩和に安全かつ有効な世界標準的な薬であることを、国民に繰り返し伝えてきました。

しかし、現在も疼痛治療の現場ではモルヒネについての誤った認識がまだ根強くありますので、この場で繰り返し説明させてください。

Qモルヒネは人生の最期にのみ使用すべき薬でしょうか?
A

いいえ。がんによる様々な痛みで通常の痛み止め(主に消炎鎮痛薬)が無効、あるいは効果不十分な場合、世界標準的な鎮痛薬としてモルヒネが推奨されています。医学的適応があれば、がんの病状の進行具合にかかわらず、躊躇(ちゅうちょ)なくモルヒネで痛みを最小に抑え、より良い生活の維持を目標にします。

Q私の父は末期がんの痛みでモルヒネを内服していましたが、意識朦朧として、最期には“もぬけの殻”のようでした。これはモルヒネを飲んでいたからでしょうか?
A

がんの末期、特に亡くなる数週間前頃から、「意識の混濁」がしばしば生じます。この状態は、様々な原因(病気の進行による衰弱、肝臓や腎臓の機能低下、栄養低下、脱水、全身感染症、血液電解質の異常、脳の機能低下、不安などの心理的要因、コントロール不良の痛み、使用薬の副作用等)のうち通常複数の要因が関与しています。他の原因とともにモルヒネが意識の混濁に部分的に影響を与えることもあります。この場合は痛みが悪化しない程度にまで減量し,モルヒネによる関与を最小限にします。がんの末期で、痛みと意識混濁の両方がある場合にはモルヒネ投与量を急に減量、中止することはかえって痛みを増強させ、生活の質を下げるため注意が必要です。このような状況で困っている場合には、緩和ケア科に是非ご相談ください。

Qモルヒネを定期的に使うと、薬が効きにくくなる心配はありますか?
A

モルヒネをがんの痛みのために定期的に使用する場合、疼痛緩和の効果の低下(耐性)は臨床上殆ど問題とはなりません。ただ、がんの進行とともに痛みは通常強くなり、薬の使用量は徐々に増える場合が多いです。がんの痛みが強くなっても、モルヒネをその都度増量すれば痛みの緩和効果は上がり、モルヒネ投与量には上限がありません。今使い過ぎると将来上限を超えて薬が効かなくなるという心配は全くありません。

Qモルヒネを続けて飲んでいると、麻薬中毒になってしまうのが心配なのですが?
A

がんの痛みでモルヒネを適切に使用する場合に、麻薬中毒の心配はありません。

Qある医師から「モルヒネを飲み過ぎないように」、別の医師からは、「痛かったら我慢せずに飲みなさい」と言われます。医師によって言うことが違い混乱します。
A

一人ひとりの異なる痛みに対して、痛みの緩和が可能となるモルヒネの必要量があるといわれます。その量を使用すれば痛みは最小限ですが、今度はその量を大きく超えて使用すると、副作用が前面に出てしまいます。痛みが強く、必要量まで飲んでいない場合に、医師としては 「我慢せずに」、と言いますが、現在の内服量が必要量を超えているな、と判断したら、「飲み過ぎないように」と言う、両方の視点が必要です。

モルヒネによる痛みの管理には、医療者自身がモルヒネの上手な処方を熟知しなくてはなりません。がんの患者さまは数が多いため、緩和ケア科ががんの痛みの患者さま全員に直接係わることは不可能です。緩和ケア科は、がんの痛みを普段扱う多くの医療者がより上手な痛みのコントロールを実践するためのサポートを今後も強化していきます。

緩和ケア科医師 関根龍一

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