ページの先頭です

第4話 魔法か まやかしか2

2022/7/1

前回「藁(わら)にもすがる気持ちで受診した」と、溺れた時につかまるのに藁くらい頼りないと患者さまに思われていたお話をしました。それが偽らざる本音でしょう…。

今でこそ多くの医師が漢方薬を診療にうまく取り入れて効果を上げていますが、ちょっと前までは「漢方なんてまやかしだ」「あんなものおまじないだ」と公言する医師は珍しくありませんでした。一方で、一部の患者さまは「漢方はがんでも、糖尿病でも、高血圧でも、何にでも効くし、免疫も高まるんですよね?!」と、まるで魔法か何かのように思われていることもありました。

漢方に対する評価は不思議と両極端に分かれがちです。もちろんどちらも間違いです。漢方はおそらく数万年もの時間をかけて我々人類の祖先が積み上げてきた、人間の様々な病気の状態を改善させる天然の薬物の組み合わせ(レシピ)や使い方に関する経験知の集積を活用する、現代医学とは異なる「医学体系」です。

病気の原因や人間の心身の仕組みや構造についての基本的な知識のない時代、今なら当たり前の血液検査や画像検査など何もありませんでした。その当時できたことは、病人の状態をひたすらしっかり観察することでした。今のように細かな検査やモニター機器は利用できませんから、観察は外から視たり体表部分を触れたりして行います。

体の中で病気との戦いとして起こる様々な反応が、複合的に顔色だったり脈や舌、お腹の変化として現れるのを観察するので、病人の状態を細かな点としてではなく、それらが総括されたものを総合的に俯瞰的に捉えることになります。この、人間の心身で起こる変化を総合的に観察することが、体の変化を分析的に細かく掘り下げて調べていく現代医学と対極的なアプローチとして今、役に立っているのですね。

細かく調べても原因のわからない不調はしばしば「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と言われてしまいます。現代医学的には対処のしようがない、なかなか困ったものですが、患者さまとしては辛いわけですし、それを治せない医療者側も辛いものです。ところがそんなとき、漢方的な視点から見るとごくごく普通に「異常」が見つかることがあるのです。

例えば最近マスコミなどでも取り上げられている気象病と言われる体調不良。天候悪化に伴って頭痛や目眩(めまい)、肩こり、関節痛、気が滅入る…などの症状がでるようです。原因不明の体調不良で不安だった人達も多いことでしょう。気圧や湿度の影響だとわかれば安心かもしれませんが、現代医学をもってしても、これに総合的に対処する良い方法はありません。

ところが漢方の世界では、「水滞(水毒)」といって体内の水の代謝がきちんとできてないものを指す疾患概念があり、こういった症状に実によく効く一連の漢方薬が知られています。

気圧や湿度が体にどのようなメカニズムで不調をきたすのかはまだ科学的にはよくわかっていませんが、東洋医学の視点から総合的に捉えることで対応が可能になる、一つの典型的なケースです。

上記のような症状に悩まれている方がいらしたら、ぜひ東洋医学診療科を受診なさってみてください。

当科は初めての患者さまの診療には30分以上、ときには1時間近くかかるため完全予約制とさせていただいており、当日の予約はほとんど取れません。必ず初診予約をお取りいただいてから来院されるようお願いいたします。

東洋医学診療科のご案内

東洋医学診療科 部長 南澤 潔

医療法人鉄蕉会 医療ポータルサイトについて

本サイトは、 医療法人鉄蕉会 が運営しております。