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第3話 魔法か まやかしか

2022/6/15

5年ほど前に「ネイチャー」という、たいへん権威のある科学雑誌に興味深い論文が載りました。それは「5万年前、ネアンデルタール人は鎮痛剤や抗生物質の成分を含む薬草を利用していた可能性がある」という内容でした。

ネアンデルタール人というのは、我々ホモサピエンスの祖先との生存競争に敗れて滅びたと言われる旧人類です。その彼らがすでに石器時代に薬草の効果を利用していたかもしれないというのですから、より知識の蓄積に秀でていたと言われる我々の祖先である現人類も、当然この頃から薬草の知識を蓄積してきていたことでしょう。

いまでこそ漢方は「藁わらをもすがるつもりで受診しました」など、もし効けば儲けものの「藁」程度の存在かもしれませんが(笑)、ほんの100年ほど前には、まだこの世に抗生物質もなく、現代医学でも感染症を治療する事もできませんでした。150年も前には病原菌が病気の原因になるということすらわかっていませんでした。麻酔もまだ存在せず安全に手術もできませんでした。

現代に生きる我々からすると、医学と言えるものがあったのか? とすら思えるような恐ろしい時代が終わったのは、まだほんの100年程前のことです。それ以前の、命を託せるしっかりした医学が存在しない時代に、もしも自分や大切な人が重い病気になったらどうしたでしょう??

当時、人々は加持祈祷などの超常現象に頼るか、薬草の類に望みを託すしかありませんでした。文字通りまさに命懸けで薬草を探して試したはずです。当然失敗して効果がなかったり、場合によっては毒草を食してしまったりとたくさんの犠牲も払ったことでしょう。しかしときには有用な薬効を持つ草根木皮の類が見つかることもあり、その経験が受け継がれ蓄積されていったと推察できます。

2000年近くも前の古代の医学書なんて…とお思いになるかもしれませんが、第2話でご紹介した医学書「傷寒論」は数万年の永きに亘る(?)まさに我々の祖先が長年掛けて積み上げてきた命懸けの経験知の集積なのです。

そう思うと「漢方なんて…」と思っておられた方も、少し見方が変わりませんか? (*^^*)

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東洋医学診療科 部長 南澤 潔

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