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第9回 リンパ浮腫に対する運動療法の考え方

浮腫を軽減する目的で、運動やエクササイズは多く取り入れられています。運動をすることで、関節の可動域の維持、筋力・活動量を向上させることができ、生活の質を向上することができます。日常生活の中で、いかにリンパ系を活発に動かしながら過ごせるかということが重要になります。呼吸や関節運動、有酸素運動を行うことで、リンパ系の活性化を図ることができると考えられています。
筋力強化練習は、筋肉のポンプ作用を利用し、リンパ流を増大させます。筋ポンプ作用とは骨格筋の収縮や弛緩により患肢の静脈血やリンパ液の還流を促します。腹式呼吸は腹腔内圧を高めることにより、腹部のリンパの流れ(胸管のポンプ作用)を促進させることができます。
筋肉のポンプ作用によるリンパ系促進の効果は、弾性着衣で圧迫した状態で行うとより効果が増すといわれています。弾性着衣を装着することで、しっかりと壁をつくり、筋肉の運動に伴って、高い動作圧・静止圧が生じるため高い効果が得られやすいといわれています。

静止圧:患肢が静止しているとき、包帯または弾性着衣が皮膚に対して一定の圧力をかけている

動作圧:筋肉が収縮して膨らむと(エクササイズ時など)、抵抗する包帯を筋肉が押し付けることになり、患肢内の圧力が一時的に高まる

乳がん手術後の運動療法について

乳がんの手術後は疼痛や不安感により、患肢を動かす機会が減ってしまうことがあります。患肢を動かさないでいると、肩関節の動く範囲が狭くなってしまったり、痛みがでたりすることがあります。
乳がん手術後に動く範囲を拡大することは、日常生活や趣味、生活の質を維持するために重要です。
センチネルリンパ節生検の登場により、乳がん手術に伴う上肢機能障害は減少しているもののいまだに存在し、その程度は腋窩郭清群で66%に対し、センチネルリンパ節生検群で36%と報告されています。上肢の機能障害は、肩関節可動域低下(1%~67%)、腕の筋力低下(9~28%)、肩・腕の疼痛(9~68%)、リンパ浮腫(0~34%)と報告されています。当院では手術後3日目からのリハビリテーションが開始となっており、術直後からの運動プログラムによって、有意に術後短期における肩関節可動域が回復するといわれています。入院中でのリハビリはごく僅かです。退院後にしっかりと自主練習を行うことが重要です。強い痛みが生じない範囲で動かし、徐々に可動範囲を拡大していきましょう。

リンパの流れをよくするための準備運動

肩を後ろ回し

腹式呼吸

肩関節可動域練習

1.棒を両手で握り、腕を伸ばしたまま上げる

2.棒の両端を持ち、痛いほうへ突き上げる

壁を使用したストレッチ

また、肩関節の運動を行うことで、筋力強化や可動域改善につながり、趣味の再開や生活の質の向上にもつながります。有酸素運動などの運動療法を併用することで、筋力強化、脂肪の減少によりリンパ浮腫の予防にもつながります。無理のない範囲で練習を継続することがとても大切です。

参考文献

  • 看護師・理学療法士のためのリンパ浮腫の手技とケア
  • リンパ浮腫管理のベストプラクティス

リンパ浮腫外来のご案内

第1・第2・第3火曜日(亀田総合病院、亀田クリニック)

第1・第3金曜日(亀田京橋クリニック)
※6月より外来診察日が(第1・第3金曜日と第1または第2土曜日)となります。