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第8回 リンパ浮腫に対する外科手術 -リンパ節移植術とは-

リンパ浮腫の治療において、リンパ管の変性が進みリンパ浮腫が増悪している症例に対しては、保存的治療に外科治療を併用することで、リンパ浮腫の症状軽減、増悪速度の鈍化、蜂窩織炎(感染)の軽減が期待できることが分かってきています。

前回は、外科治療の中でも最も低侵襲な方法である「リンパ管静脈吻合術」についてお話ししました(第7回コラム参照新しいウィンドウで表示します)。この手技は、下図左側のような変性が中等度以下で狭窄の程度が低いリンパ管が多く残っていれば手術の効果は高くなる一方で、下図右側のような変性が進み狭窄・閉塞しているリンパ管が大多数を占めるような症例では手術の効果は低くなる、あるいはほぼ効果が出ないということになります。

  • リンパ管狭窄から閉塞までの進行図

そのようなリンパ管の変性が進んでしまっているリンパ浮腫の症例に対しては、「リンパ節移植術」という方法があります。
この手術は、まず、健常部位(鎖骨周囲、側胸部、鼡径部など)にあるリンパ節とその周囲の脂肪組織を、それを栄養する血管と一緒に採取してきます。

  • リンパ節移植術に必要な健常部位からのリンパ管と周辺組織の採取図

次に、採取したリンパ節とその周囲組織(ドナー側)を、高度なリンパ管変性が認められるリンパ浮腫の部位(レシピエント側)に移植し、リンパ節を栄養する血管(動脈・静脈)と移植床の血管を顕微鏡下で吻合します。また、この際、移植するリンパ節の輸出リンパ管を同定できればレシピエント側の静脈と吻合します。

  • 健常部位から採取したリンパ管と周辺組織の吻合による再建図

リンパ節移植がリンパ浮腫に対して効果をもつメカニズムとしては、下記のようなことがあげられます。

  • リンパ節自体にリンパ液を回収し流すポンプ作用があり、同時にリンパ節の中には生理的な『リンパ管-静脈吻合』があるため、これらの機能を介してうっ滞したリンパ液が排出されるようになる。
  • 移植したリンパ節からリンパ管新生因子が放出されるため、新たなリンパ流路が形成されリンパ液のうっ滞が改善する。

リンパ管静脈吻合術同様、術後に周径の減少や蜂窩織炎の減少、主観的症状(重たさ、しびれ、痛みなど)の改善が期待できる一方で、リンパ管静脈吻合術と比較しやや侵襲的な手術であること、効果が出るまでに時間がかかる(半年~1年以上)という点に注意しなければなりません。また、リンパ浮腫の悪化に伴いすでに増生してしまった脂肪をこの術式で減少させることは困難であり、増生した脂肪を除去するためには「脂肪吸引術」という方法が別に必要になることにも注意が必要です。

リンパ浮腫外来のご案内

第1・第2・第3火曜日(亀田総合病院、亀田クリニック)

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※6月より外来診察日が(第1・第3金曜日と第1または第2土曜日)となります。