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第6回 リンパ浮腫に対する保存的治療

当院では、がんサバイバーの皆様が安心して日常生活を過ごせるように、様々な方面からサポートする目的の下、がんの治療後に生じるリンパ浮腫をお持ちの皆様を対象に、合計6名の認定看護師・理学療法士によるリンパケア外来を開設しています。リンパケア外来では、保存的治療(複合的治療)を行っております。

リンパ浮腫の複合的治療は、一人一人異なる症状に対して以下のセラピーを適切に組み合わせていきます。発症してしまったリンパ浮腫を完治させることは困難ですが、日常生活に注意して浮腫を発症しにくくすることはできます。また、発症早期に発見して治療を開始すれば、元の状態に近いくらいまで戻る方もいらっしゃいますし、発症後長期間経過している症例においても、外科治療と組み合わせることで安楽に過ごせるようになります。諦めずにケアを行っていくことが大切です。

  1. 1 .スキンケア:むくんだ皮膚は傷つきやすく炎症を起こしやすいため、ひび割れや水虫などの感染症に注意する必要があります。保湿クリームや適切な軟膏を使用しましょう。感染によりリンパ管炎や蜂窩織炎が起こると浮腫の増強につながりますので、毎日のケアが重要です。
  1. 2 .医療徒手リンパドレナージ:エステなどのマッサージ(美容的ドレナージ)とは違うゆっくりとしたやわらかいマッサージ法で、皮膚や皮下組織にたまったリンパ液を正常なリンパ節へ誘導するようにドレナージ(排液)を行います。硬くなった皮膚をほぐし、皮膚の状態を改善する効果もあります。ドレナージにおいて重要な点は、リンパ液の流れは一人一人違うということです。当院では、リンパ浮腫外来でのICGリンパ管造影(第5回コラム参照)やリンパシンチグラフィーなどの検査結果をもとに、医師との連携の下、それぞれの患者さまに最適なドレナージ法の指導を行っています。
  1. 3 .圧迫療法:体の水分は重力にしたがって手先足先に溜まりやすくなります。リンパドレナージで排液したリンパ液が重力の影響で元に戻らないために十分な圧迫を行います。弾性包帯やストッキング、スリーブなどを使用しますが、体に合わないものを使用するとかえって悪化することがありますので注意が必要です。それぞれの患者さまの生活スタイルに合わせた圧迫療法をご提案できるように心がけています。
  1. 4 .圧迫した状態での運動療法:圧迫した状態で筋肉を用いた運動をすることで、リンパ管の動きを活発にします。強い運動ではなく、毎日できる程度の運動を続けましょう。お散歩をする、腕を握る・緩める、足首や膝の曲げ伸ばしなど、日常生活の中でできる運動で十分です。
  1. 5 .セルフケア指導:一人一人の生活スタイルに合わせ、ご自宅でのセルフケアを指導いたします。

保存療法について、今後もこちらのコラムで定期的にご紹介していきます。

リンパケア外来

亀田総合病院 担当看護師
ケリー由美子/石橋亜紀子