ページの先頭です

「腎移植における免疫抑制剤について」

2017/7/15

腎移植において、移植された腎臓(移植腎)はその人にとって異物として認識されるため、その異物を排除しようとする「免疫」という機能が働きます。免疫により移植腎が攻撃されてしまう「拒絶反応」が起きると、元気な移植腎もその機能を失ってしまいます。そのため手術前から免疫抑制剤を使用することで、拒絶反応を抑え、移植腎を守る必要があります。今回はこの免疫抑制剤についてお話しいたします。

免疫抑制剤の歴史

過去には免疫抑制剤の種類が限られていたため、拒絶反応の制御が困難な事例がありました。そのような事例では、お薬の量が増え、副作用が多く発現したと言われています。しかし、現在では使用できる免疫抑制剤の種類が増えました。複数の免疫抑制剤を組み合わせて使用することで、少ない量で最大限の効果を得ると同時に、副作用を減らすことができるようになりました。

主な免疫抑制剤(内服薬)

当院では主に以下(①②③)のお薬を組み合わせて使用しています。

カルシニューリン阻害
タクロリムス 代表的な商品名 グラセプター®カプセルなど
主な副作用 ・腎臓への負担・肝臓への負担・多毛、脱毛
・血圧、血糖値、カリウム値、尿酸値の変動 など
代謝拮抗薬
ミコフェノール酸モフェチル 代表的な商品名 セルセプト®カプセルなど
主な副作用 ・下痢・食欲不振・白血球減少など
注意点 ・妊婦や妊娠している女性には使用出来ません。妊娠可能な年齢の女性の場合には予め妊娠検査が陰性であることを確認します。また、このお薬を内服中および内服中止後6週間は避妊を行う必要があります。
ステロイド薬
メチルプレドニゾロン 代表的な商品名 メドロール® 錠など
主な副作用 ・気分の変調・皮膚障害・血圧、血糖値の変動
・多毛、脱毛・胃の不快感・骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など

お薬は正しく飲みましょう

免疫抑制剤の効果が弱すぎれば拒絶反応が起き、強すぎれば腎臓の働きの低下などの副作用が起きます。お薬の効果は、内服時間のばらつきや、内服タイミング(食前、食後など)の違いにより影響を受ける可能性があります。そのため免疫抑制剤は毎日決められた時間、決められたタイミングで飲み忘れのないように内服することがとても大切です。また一部の免疫抑制剤は適切な量に調節するために、血液中のお薬の濃度を測る必要があります。その際にも、内服時間・タイミングなどの影響を受けるため、お薬は決められた通り正しく内服しましょう。

相互作用(お薬、飲食物)

他のお薬との併用や一部の柑橘類(グレープフルーツなど)、ハーブ茶などに含まれるセイヨウオトギリソウ(=セント・ジョーンズ・ワート)の摂取により、免疫抑制剤の効果を強めたり弱めたりすることがあります(相互作用)。そのため新たにお薬を追加する場合には事前に相互作用を確認する必要があります。また免疫抑制剤の内服中はこれらの飲食物の摂取は避けて下さい。グレープフルーツによる影響は、数日程度続くことが知られているため注意が必要です。

その他、相互作用に関して不明な点は医師、薬剤師にご相談下さい。


第11話では、心理的なサポートについてお話していきたいと思います。

腎移植科のご案内

亀田総合病院 薬剤室 渡辺則夫