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「慢性腎臓病とそれを起こす病気について」

2017/6/1

わが国における血液透析患者数は2015年(平成27年)末の時点で32万人を超え、なお増加の一途をたどっています。原因疾患は糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症をはじめとする慢性腎臓病です。慢性腎臓病とは、「腎臓の障害」もしくは「腎機能低下」が3か月以上持続している状態のことです。「腎臓の障害」とは「蛋白尿」や「腎形態異常」を指し、「腎機能低下」とは「糸球体濾過量60ml/min/1.73㎡未満」を指します。

尿検査について

蛋白尿・血尿は尿を検査することで調べることができます。蛋白尿は尿中に蛋白がもれ出ている状態で、血尿は尿中に血液中の成分(赤血球)がもれ出ている状態です。(尿の色が赤くなくても、血尿の場合があります)。病気のない方は、通常尿中に蛋白や血がでることはありません。血尿が主に認められる場合は、尿路のがん、結石、膀胱炎などです。蛋白尿と血尿が認められる場合、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎などの疾患が考えられます。

透析療法が必要になる方の原因は糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症が上位3つを占めています。今回はこの3つの病気について説明します。

糖尿病性腎症

透析療法が必要になる方の40%以上は、糖尿病が原因です。わが国では、男性の約16%・女性の約10%が糖尿病とされているように、糖尿病は非常に頻度の高い病気です。糖尿病は、慢性腎臓病だけではなく脳卒中や心臓病、足壊疽の原因にもなります。慢性腎臓病自体も脳卒中や心臓病の原因になるため、糖尿病によって腎臓が悪くなると、全身に影響が及び、透析のリスクが増加するだけでなく、死亡のリスクも増加します。しかし、早期に発見して治療を行えば、病気の進行を遅らせることができるだけでなく、病気が治まる(寛解といいます)ことが知られています。

慢性糸球体腎炎

長期にわたり糸球体の炎症によって、蛋白尿や血尿が出る病気を総称して慢性糸球体腎炎と呼びます。

慢性糸球体腎炎は1つの病気ではなく、さまざまな病気の総称です。慢性糸球体腎炎の中で最も頻度の高いものにIgA腎症があります。IgAは免疫グロブリンAの略称で、この抗体は、のどや気管支、腸などの粘膜を外敵から守っています。この障壁が弱いと、粘膜に感染した病原体の一部とIgAが免疫複合体を作って血液中に入り、腎臓に流れ着きます。腎臓の糸球体のフィルターにひっかかると、ジワジワと炎症を起こして組織を破壊していきます。IgA腎症では血液中のIgA濃度が高くなることがあります。IgA腎症は20代前半に発病のピークがあります。

腎硬化症

腎硬化症は高血圧の影響で腎臓にある細動脈が動脈硬化を起こし腎臓病にいたる病気です。腎臓と血圧は密接な関係があり、腎臓の機能のひとつが血圧の調節です。腎障害があると、血圧の調節機能が障害されるため、腎臓と血圧との間で悪循環が形成され腎障害をさらに悪化させます。また、正常な腎機能の方でも高血圧を適切に治療しなければ慢性腎臓病となり自覚症状に乏しいまま腎障害が進行する危険性があります。

最後に

慢性腎臓病は、糖尿病、高血圧、喫煙、高尿酸血症など生活習慣と関連しており、その発症進展予防には食事管理、適度な運動、禁煙といった生活習慣の是正が大切です。さらに、早期発見し早期治療すれば寛解する場合があります。尿検査で異常を認めたら病院での精査が必要です。慢性腎臓病も検査を受けないと、状態を把握することができません。危険因子(血縁者に糖尿病の方がいる・肥満・運動不足・喫煙習慣・過量の飲酒・高血圧など)がある方は、生活習慣を改めるとともに、必ず健康診断を受け早期発見に努め、異常があればすぐにかかりつけ医や当院に相談してください。


第8話では、レシピエント移植コーディネーターについてお話していきたいと思います。

腎移植科のご案内

亀田総合病院 腎移植科 森川 昌平