ページの先頭です

「生体腎移植の手術:ドナーの腎採取術」

2017/5/1

生体腎移植では末期腎不全の患者さまに健康な人(親族)の腎臓を移植して治療します。腎臓を提供する人はドナー、移植を受ける患者さまはレシピエントと呼ばれます。生体腎移植ではドナーの腎臓を採取するための手術とレシピエントへ腎臓を移植するための手術の2つの手術が必要となります。これらの手術はほぼ同時進行で行われます。第5話では生体腎移植におけるドナーの手術についてお話しします。

手術の方法

これまでは摘出する腎臓側の脇腹を20cm程度切開して、直視下に直接腎臓に触れながら移植する腎臓を採取する開放手術が一般的に行われてきました。現在は手術中の出血や術後の創部の痛みの軽減、回復の早さなどの利点から体に開けた小さな創から内視鏡(カメラ)や手術器具を挿入し腎臓を摘出する内視鏡手術も行われるようになっています。当院でもドナーの腎採取術は内視鏡手術によって行います。

手術の流れ

手術は全身麻酔で行われます。採取する腎臓が上側になるように、からだを横向きにして脇腹に3~4カ所の5mm~1.5cm程度の穴を開けます。この穴にカメラや手術器具を体内に通すポートと呼ばれる器具を挿入します。カメラで写した体内をモニターで確認しながら、専用の手術器具を用いて腎臓の周囲を剥がします。腎臓の血液の通り道である血管(腎動脈、腎静脈)と尿の通り道である尿管を切って取り出せる状態にします。


下腹部を横向きに5~7cm程切開し、ここから袋に入れて腎臓を取り出します。この創は下着に隠れる位置であり術後もあまり目立ちません。創を閉じて手術が終了となります。手術時間は通常2~3時間程度です。

術後の経過

術後の経過に問題がなければ、手術の翌日から立位歩行や食事摂取が可能となります。術後3日程度で退院できるようになります。

退院後は日常生活を行うことに特に支障はありませんが、片腎となるため残された腎臓の機能を悪くしないように注意する必要があります。残った方の腎臓にかかる負担が大きくなると、血圧が高くなったり尿に蛋白が出てきたりします。基本的に、片方の腎臓を提供することでドナーの腎臓の機能が極端に悪くなり透析が必要になるようなことはないとされておりますが、定期的な腎機能評価、体重や血圧の管理、禁煙、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病に注意するための通院が必要となります。当院では腎臓高血圧内科の外来に定期通院して、経過観察していきます。


第6話では腎移植におけるレシピエントの腎移植術について、詳しくお話ししたいと思います。

腎移植科のご案内

亀田総合病院 腎移植科 医長 越智敦彦