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「血液型不適合腎移植:血液型が異なる場合の腎移植」

2017/4/15

腎移植では、腎臓がはたらかなくなった末期腎不全の患者さま(レシピエント)に他人(ドナー)の腎臓を移植します。通常、輸血を行うときには同じ血液型の血液が使われます。移植したドナーの腎臓にはレシピエントの血液が流れることになりますが、ドナーとレシピエントの血液型が異なる場合に、移植した腎臓に問題は起きないのでしょうか。第4話では、ドナーとレシピエントの血液型が異なる場合の腎移植についてお話していきたいと思います。

ABO式血液型について

まず血液型についてお話します。血液型にはA型、B型、AB型、O型の4種類があります。血液の赤い成分である赤血球の表面に血液型抗原という「標識」がついており、それで型が区別されます。A型の人の赤血球にはA抗原、B型にはB抗原がついています。またAB型にはA抗原もB抗原もついており、O型の人にはそのいずれもついていません。


また抗原とは反対の抗体というものを血液の中にもっています。A型の人は抗B抗体を、B型の人は抗A抗体をもっています。O型の人は抗A抗体も抗B抗体ももっており、AB型の人はいずれの抗体ももっていません。

抗体は同じ型の抗原にくっつくことで、免疫反応を起こしその細胞を破壊します。血液型が一致していれば、この免疫反応は起こりません(一致)。また、例えばO型のドナーの赤血球にはAB抗原がついていないので抗B抗体をもっているA型、抗A抗体をもっているB型、いずれの抗体ももっていないAB型のレシピエントに輸血しても血液型は異なりますが免疫反応は起こりません(不一致)。この一致と不一致の関係は合わせて「適合」といわれます。


それに対して、例えばA型レシピエントにB型ドナーの赤血球を輸血した場合、B型ドナーの赤血球のB抗原をA型レシピエントの血液中の抗B抗体が攻撃し破壊してしまいます。このような免疫反応を起こしてしまう関係は「不適合」といわれます。

ABO式血液型と腎移植

次に腎移植についてお話します。なぜ赤血球の型である血液型と腎移植が関係するのでしょうか。実は移植した腎臓の血管の内側の細胞(血管内皮細胞)にも血液型と同じA抗原やB抗原がついています。つまり赤血球を腎臓におきかえても同じ血液型の関係が成り立ちます。そのため、不適合の関係で腎移植を行った場合、移植した腎臓が血液型抗体に攻撃され、はたらかなくなってしまいます(拒絶反応)。

血液型不適合腎移植について

では血液型不適合の腎移植を行うにはどうすればよいのでしょうか。

まず血液型不適合の腎移植の前に「血漿(けっしょう)交換」という特殊な処置を行います。これはレシピエントの血液の中にある抗A抗体や抗B抗体を除去し、抗体の入っていない液体に置き換える方法です。


また、せっかく抗体を除去しても、リンパ球という血液の細胞が新しい抗体を作り出すので、これをおさえるために免疫抑制剤という薬を使用します。

つまり血液型不適合腎移植の手術前に免疫抑制剤を使用しリンパ球が新たな抗体を作るのをおさえつつ、すでにある抗体を血漿交換で除くことによって、移植したドナーの腎臓の血管にある血液型抗原をレシピエントの血液型抗体が攻撃させないようにして移植することが可能となります。


第5話では生体腎移植におけるドナーの手術について、詳しくお話ししたいと思います。

腎移植科のご案内

亀田総合病院 腎移植科 医長 越智敦彦