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「腎移植と免疫」

2017/4/1

腎移植では腎臓がはたらかなくなった末期腎不全の患者さま(レシピエント)に他人(ドナー)からの腎臓を移植します。ドナーの腎臓は移植を受けるレシピエントにとっては自分のものではない異物です。人には、からだの中に入ってきた異物(例えば細菌やウイルスなど)を排除しようとする「免疫(めんえき)」という機能が備わっています。では異物となる他人の腎臓を移植しても問題ないのでしょうか。第3話ではこの免疫と腎移植のしくみについてお話していきたいと思います。

免疫を担当する血液中の白血球

人の血液の中には免疫を担当する白血球という細胞が存在します。白血球は好中球、単球(マクロファージ)、リンパ球などに分けられ、それぞれ役割は異なります。

このうちマクロファージはからだの中に入ってきた異物を取り込み、その“特徴”をリンパ球に教えることができます。この“特徴”は「抗原(こうげん)」といわれ、マクロファージがリンパ球に抗原を教えることを「抗原提示(こうげんていじ)」といいます。リンパ球は抗原提示された異物の抗原を認識して、からだの中に入ってきた同じ抗原をもつ異物を攻撃します。この異物に対する認識はリンパ球に記憶され、その後に同じ異物を感知するとすぐに攻撃できるようになります。このしくみを利用したものがワクチンです。自分自身の抗原は異物とは認識されません。

リンパ球には異物と認識したものに対して直接異物を攻撃するT細胞と、抗原を標的とする「抗体(こうたい)」をつくりそれで異物を攻撃するB細胞があります。

腎移植における免疫

腎移植において異物であるドナーの腎臓に対してレシピエントの免疫はどのようにはたらくのでしょうか。

移植した腎臓の細胞をマクロファージが取り込みリンパ組織というリンパ球の工場に移動し、そこでリンパ球に抗原提示します。リンパ球はその抗原を異物として認識し、排除するため増殖しリンパ組織から移植腎へ出動します。リンパ球のT細胞は直接に、B細胞は抗体で移植腎を攻撃します。これを「拒絶(きょぜつ)反応」といいます。


移植腎に存在する抗原で免疫からの攻撃対象となるもののひとつにヒト白血球抗原(HLA)というものがあります。HLAは白血球と名前がつけられていますが、人のからだのほとんど全ての細胞に現れる抗原だと判明しています。HLAにはいくつか種類があり、腎移植で重要なHLAはA、B、DRと呼ばれる3種類があります。それぞれ2つの遺伝子型からできており、父親と母親より半分ずつを受け継ぐため、親子間でもHLAは完全に一致しません。

腎移植と免疫抑制剤

自分と異なるHLAをもつドナーの腎臓を移植した場合、レシピエントの免疫は異物と認識して攻撃します。この拒絶反応が起こると移植した腎臓がはたらきを失ってしまいます。そこで免疫のはたらきをおさえるための薬である免疫抑制剤(めんえきよくせいざい)を使用することにより、移植した腎臓を守ることが可能となります。


第4話では血液型が異なる場合の腎移植についてお話していきたいと思います。

腎移植科のご案内

亀田総合病院 腎移植科 医長 越智敦彦