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「腎移植とは?」

2017/3/15

腎臓は生きていく上で重要な臓器で、腎臓のはたらきが悪くなり戻らなくなった状態は末期腎不全と呼ばれます。末期腎不全の患者さまには腎臓のはたらきを替わりに行う治療が必要となり、腎代替療法と呼ばれます。腎代替療法には大きく分けて「透析療法」と「腎移植」があり、第2話では腎移植について少し詳しくお伝えいたします。

生体腎移植と献腎移植

腎移植は末期腎不全の患者さまが機能している腎臓の提供を受け、移植されることで失われた腎臓のはたらきを改善する治療法です。この移植される腎臓が生きている方からの提供の場合「生体腎移植」、亡くなった方からの提供の場合は「献腎移植」と呼ばれます。

日本移植学会の「2016臓器移植ファクトブック」によると、2015年の1年間に日本国内で腎移植は1,661例行われており、そのうち1,494例が生体腎移植、167例が献腎移植でした。海外に比べて日本では献腎の提供が少なく、生体腎移植の比率が高いことが特徴です。

献腎移植を希望される場合は日本臓器移植ネットワークに登録が必要ですが、腎臓の提供が少ないことから待機期間が平均15年ともいわれています。

レシピエントとドナー

腎移植において、腎臓の提供を受ける方(末期腎不全の患者さま)は「レシピエント」、腎臓の提供を行う方は「ドナー」と呼ばれます。

レシピエントとなるのは、すでに透析での治療を受けられている、または近いうちに透析が必要となる末期腎不全の患者さまです。


生体腎移植の場合のドナーは、親族(6親等以内の血族、配偶者と3親等以内の姻族)であることが日本移植学会倫理指針にて規定されています。また心身ともに健康な成人であること、腎移植についての説明を十分にうけ理解された上で自発的(誰にも強制されておらず)に腎臓の提供を申し出ていること(見返りのない善意)も条件となります。なお、血液型は異なっていても移植は可能です。

献腎移植の場合のドナーは、脳死後あるいは心臓が停止した後の亡くなられた方となります。ドナーが生前に「臓器提供意思表示カード」などの書面やサイトで臓器を提供する意思表示をされている場合またはご本人の臓器提供の意思が不明な場合、いずれにおいてもご家族の承諾があれば臓器の提供が可能となります。

生体腎移植の場合、レシピエント、ドナー共に腎移植前に検査を受けて、組織の適合性(移植するドナーの腎臓とレシピエントの相性)を確認します。また悪性腫瘍や活動的な感染症がないかを確認し、手術や全身麻酔に耐えられるかなども調べる必要があります。

生体腎移植におけるドナー腎採取術と腎移植術

ドナーの腎採取術、レシピエントの腎移植術いずれも全身麻酔で行われます。

ドナー腎採取術はこれまで採取する腎臓側の脇腹を20cm程度切開して直視下に腎臓を摘出する開放手術が一般的でした。現在は術中の出血の軽減、術後の創部の痛みの軽減や回復の早さなどの利点から体に開けた小さな創からカメラや手術器具を挿入し操作して、下腹部などの小さな創から腎臓を摘出する鏡視下手術が主流となってきています。


レシピエントの腎移植術では、通常右側の下腹部を弧を描くように20~25cmほど切開して、レシピエントの腸骨血管系とドナーの腎臓の血管を縫合しつなぎます。つぎに、尿の通り道である尿管と膀胱をつなぎます。


自分のものではない人の腎臓を移植して何か問題が起きないのでしょうか。人にはもともと自分とは異なるものを排除しようとする「免疫(めんえき)」という機能が備わっています。第3話ではこの免疫と腎移植のしくみについてお話していきたいと思います。

腎移植科のご案内

亀田総合病院 腎移植科 医長 越智敦彦