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女性の不妊因子

2005/10/15

妊娠の成立には、卵巣で卵が育ち、排卵されて卵管に採り込まれ、精子と出会い、発育しながら卵管から子宮内に移動し、子宮の内膜に落ち着き維持される過程がうまく調整される必要があります。不妊症のカップルでは、これらのいくつかの過程がうまくいっていません。今回は、女性の側の不妊に関わる因子で一般的なものを取り上げたいと思います。

排卵因子

卵巣での卵の成熟と排卵は、脳からのホルモンの刺激(卵胞ホルモン:FSH、黄体化ホルモン:LH)により調整されています。その異常は、無月経や月経周期の乱れを引き起こします。排卵後には体温が上昇するため、排卵がある場合は基礎体温(安静時の体温を目が覚めた時に測定)は2相性となりますが、ない場合は1相性となります。急激な体重減少、ストレス、安定剤などの薬剤も排卵に影響を与えますが、乳汁分泌がある、あるいはプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が高い場合や、多嚢胞性卵胞(PCO, 超音波検査ではたくさんの卵子を含むはれもの:卵胞が観察されるが、うまく成熟・排卵しない)の場合が排卵障害でよく見受けられます。FSH, LHは月経周期の時期により変動するので、通常は生理の始まった2~5日目に測定し、評価します。 排卵障害では、漢方薬、プロラクチンを下げる薬、経口や注射の排卵誘発剤が比較的有効ですが、卵巣の機能が低下している場合や体重減少性の場合には、治療が難しい場合もあります。

卵管因子

女性の不妊症の因子で一番多いもので、卵管が障害されると受精が起こりません。 卵管の内腔が閉塞している場合、卵管が周辺の子宮や卵巣、腸管とくっついて(癒着して)動きが悪くなる場合で、子宮内膜症や子宮と周囲の炎症(クラミジア感染などの性行為感染症、分娩や中絶後の炎症など)が原因となります。 原因の検査をするだけでなく、卵管の状態を知るために造影剤を使った子宮卵管造影を行います。 専門医が行うと決して痛い検査ではありません。原因となる疾患があるか、子宮卵管造影で異常所見がある場合には、内視鏡(腹腔鏡)を使って、骨盤内を観察しながら通水して卵管の通過性を確認するだけでなく、癒着を解除して動きを良くすること(剥離術)、卵管の通過性を回復させること(卵管鏡下卵管形成術)も可能で、当院でも積極的に行っています。卵管の機能が著しく損なわれた場合には、体外受精の適応となります。

着床因子

子宮の内側の膜(内膜)は、月経時に剥がれて薄くなりますが、毎周期再生して受精卵の落ち着く(着床する)場所として準備されます。卵の発育に伴って卵巣(卵胞)から分泌されるエストロゲンによって内膜は増殖しますが、卵を受け入れる状態に変化するには、排卵後に卵巣(黄体)から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が大切です。そのため、排卵後にそれらのホルモンを測定する他に、必要があればホルモンを補って着床環境を整えます。 また、内膜に近い場所に筋腫(粘膜下筋腫)がある場合、子宮内腔にポリープ(内膜ポリープ)が有る場合には着床が妨げられます。内視鏡(子宮鏡)を使って、子宮内を観察しながら、筋腫やポリープを切除する方法で原因を取り除く治療を行い、当院でも成果を上げています。

頚管因子

子宮の出入り口:子宮頚管から排卵期に分泌される透明な粘液は、膣内に射精された精子が生き延びて子宮内に移動するのに大切です。分泌が悪い場合や、精子の動きを止める物質(抗精子抗体)を含む場合は妊娠の妨げになります。排卵期に頚管粘液を確認する他に、排卵期には性交後12時間以内に粘液を観察することで精子の状態を評価する性交後検査を行います。
不妊症の治療は、系統的に原因を探りながり治療を進めます。

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