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妊娠の仕組み

2005/09/15

ヒトの妊娠の効率は低く、普通のカップルが1周期あたりに妊娠する確率は30%前後と報告されています。また、妊娠の約15%は流産に終わることから、健 康な児を授かる過程にはいくつかのハードルがあります。妊娠の効率の低さを知り、妊娠の仕組みを知ることは不妊の問題を理解する上で大切です。妊娠の仕組 みを簡単に説明したいと思います。
妊娠に関わる女性の臓器(生殖器)は、卵巣、卵管、子宮、膣です。卵巣で卵が育ち、良好な卵が排卵されて卵管の 端に採り込まれ、膣に射出された精液から移動して来た精子と出会い、受精した卵が発育しながら卵管から子宮に移動し、子宮の内膜に埋没して落ち着き維持さ れることで妊娠が成立します。これらに関わる臓器の形と機能が正常であること、ホルモンバランスなど全体の機能が正常であることが妊娠の成立には必要で す。

卵巣

卵巣は卵を作りだし、周期的にホルモンを分泌して体を妊娠にふさわしい状態に変化させます。その"卵の成長"、"排卵"、"ホルモン産生"は、脳からの刺 激(下垂体ホルモン)により調整されています。月経が始まり、新しい妊娠の周期が始まると、脳から分泌される卵胞成長ホルモン;FSHにより、卵子を含む 腫れもの(卵胞)の発育が促進されます。卵胞が20mmを超える大きさに成長すると排卵が起こります。
卵胞の成長過程で、卵胞からいわゆる女性ホルモンエストロゲンが分泌されます。卵が成熟し、この値が高まると排卵のシグナル(黄体化ホルモン;LH)が脳から一気に放出され約36時間後に排卵が起こります。
排卵後の卵胞は黄体へと変化し、エストロゲンだけでなく、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌し、子宮を妊娠しやすい状態に変化させます。

卵管

卵管は精子と卵子が出会う(受精する)場所、初期の受精卵が発育する場所となります。
卵巣から排卵された卵は、卵管の端の部分から卵管に取り込ま れます。一方、精液の中には、1mlあたり数千万以上の精子がいますが、移動の過程で減少し、受精の場まで到達する精子はごく一部(100前後)です。ま た、受精するには、排卵から8~24時間までに精子と出会う必要があると言われます。うまく受精すると、発育(分割)を続けながら卵管内を移動して排卵後 5日目に受精卵は子宮内に到着します。

子宮

子宮は、筋肉の内側に膜の部分(内膜)があり、妊娠には内膜の状態が大切です。内膜は、月経で剥がれ落ちて薄くなりますが、卵の成長とともに分泌されるエ ストロゲンの作用で増殖して厚くなります。排卵後には、プロゲステロンの作用で妊娠にふさわしい内膜に変化します。子宮の中に移動した受精卵が子宮内膜の 中に埋もれて(着床)、落ち着いて発育が進行すると妊娠が成立します。
なお、排卵が近づくとエストロゲンの作用で子宮の入口/出口(頚管)から透明なさらっとした粘液が分泌され精子の受け入れを助けます。
不妊症のカップルは、上記のいくつかの過程/機能がうまく行っていない可能性があります。不妊症の治療は、原因となる状態を系統的に検査しながら、うまく精子と卵子が出会うように調整しながら進めることになります。