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便秘の診断と治療

2018/12/15

便秘とは

「便秘」の意味については自分の経験を基にその意味を理解している方が多いようです。排便の回数が少ないものを便秘ととらえる方、便の量が少ないものを便秘ととらえる方、いきんでも便が出にくいものを便秘ととらえる方など様々です。少々解りにくいですが、医学的に便秘とは「排便回数や排便量が少ないために便が大腸内に滞った状態」または「直腸内にある便を快適に排出できない状態」をいいます。直腸肛門外来で主に扱うのは、後者です。すなわち、便が肛門の近くに降りているのに満足に出ない状態です。これを「排便困難型の便秘」といいます。ただし、がんなどの悪性疾患のために便秘をきたす場合は適切な医師を紹介しています。

「排便困難型の便秘」の診断はどうするのですか

「排便困難型の便秘」は二つに分かれます。直腸の形が変化したために便が出にくい便秘と直腸の形が正常なのに便が出にくい便秘です。診断は両者とも排便造影が有効です。

排便造影とはどういう検査ですか

骨盤底筋体操は産後の尿もれ対策でよく聞く言葉ですが、便もれにも行われます。時に「便の我慢が上手くできない」「上手く肛門がしめられない」と感じる人へは肛門の収縮をモニターに表示してトレーニングを行うバイオフィードバック療法という治療法もあります。

直腸の形が変化したために便が出にくい便秘の種類とその治療

いろいろありますが、代表的なものが直腸瘤と直腸重積です。直腸瘤は女性の病気で、肛門のすぐ上にある直腸が膣側に脱出するもので(図1)、直腸重積は直腸が内側に折り込まれて、肛門に入り込むものです(図2)。治療は両者とも、緩下剤の内服が基本ですが、改善しない場合には手術をすることがあります。直腸瘤の手術については第12話で紹介します。直腸重積の手術にはいくつかありますが、便秘に加えて便失禁をきたすような方には、腹腔鏡下直腸固定術を行っています。この方法については第11話で詳しく紹介します。便秘のみの方では、腹腔鏡下直腸固定術または肛門から直腸の重積部分を切除する方法を行っています。

直腸の形が正常なのに便が出にくい便秘の種類とその治療

  1. 1 .直腸の感覚が鈍くて、肛門の上まで便が降りてきているのに便意を感じない型の便秘です。脊髄の病気、脳梗塞の既往があるもの、高齢者などがあてはまります。治療は緩下剤の内服と坐剤、浣腸の併用です。脊髄の病気の方は逆行性洗腸法(肛門から微温湯を500~1,000ml注入することで排便を促す)が有効です。
  2. 2 .排便協調障害といって、排便時に肛門の筋肉を緩めることができない型の便秘です。治療はバイオフィードバック療法といって、排便時に肛門の筋肉の収縮と腹筋の収縮に協調がないことを可視化して、それを修復する方法です。
  3. 3 .便排出力低下といって、横隔膜と腹筋の収縮力が弱くて、「いきむ」力が低下したために便を排出できにくい型の便秘です。治療は排便姿勢やいきみ方の練習などの理学療法を行っています。
直腸肛門外来のご案内

亀田総合病院 消化器外科部長 角田明良