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便失禁

2018/11/1

はじめに

「気がついたら下着に便がついていた」、「便意を感じてからトイレまで間に合わなかった」。皆さんはこのような経験をされたことはありますか?

便失禁とは、おしりの筋肉や神経がうまく働かないなど排便を正常にコントロールできなくなる病気です。ここ数年この病気についての研究や治療法がかなり進んできています。これから3回に分けて便失禁の病気の説明、必要な検査、そして治療について説明していきます。

便が漏れないしくみとは?

おしりの穴から約3cmを肛門と言い、排便時以外では閉じています。これは肛門のまわりに内肛門括約筋と外肛門括約筋という二重の筋肉が働いているおかげです。(図1)

内肛門括約筋は自分の意志とは関係なく常にやや弱めにしめていて、無意識に便が漏れるのを防いでくれています。肛門の近くに便が沢山下りてくると脳に刺激が伝わり、「便意」を感じます。トイレまでたどり着くまで漏れないよう今度は脳から外肛門括約筋へ「しめろ!」と指示を出してトイレまで筋肉を収縮させて「便意」を我慢していきます。

便失禁の原因は?

いろいろな原因で便失禁は起こります。一番多いのは年齢によるものです。高齢になってくると内肛門括約筋の筋力が落ちて「無意識に漏れる」ことが生じます。次に多いのは出産時やおしりの手術、事故などで肛門括約筋が切れてしまい起こることです。直腸がんの手術では便をためる働きのある部位を取る必要があり、また時に一部肛門括約筋を切るため便失禁の症状を来してしまうことがあります。怪我や病気で肛門へ指示を出す神経にダメージを受けた場合にも便失禁が起こります。

便失禁の種類とは?

以下の3つに分けられます。

漏出性便失禁 自分では全く気づかないうちに便が漏れてしまう状態
切迫性便失禁 便意を感じてから短い時間でも我慢できずに便が漏れてしまう状態
混合性便失禁 漏出性と切迫性の両方の症状がある状態

悩んでいるのはどんな人?

比較的高齢者に多い病気ですが、便失禁で受診した方の内訳をみると30歳代以降の受診者も見られ決して高齢者に多い病気ではありません。(図2)

治療しないとどうなるの?

便失禁は、単に「便が漏れる」という症状だけではなく、出先で漏れるのが心配で外出や旅行をあきらめたり、常にトイレの場所を確認しながらの行動でストレスがたまったり、女性の方では夏に白のズボンが履けないなど日常生活を十分に楽しめないことが問題になってきます。お一人で悩まずに専門医に相談してください。きっと明るい未来が開けます!次回は実際に当院で行っている検査についてお話しします。

直腸肛門外来のご案内

亀田総合病院 消化器外科部長 高橋知子