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肛門の筋肉を切らない痔瘻の手術

2018/10/1

痔瘻(じろう)とはどういう病気ですか

痔瘻とは肛門の中から肛門の外側の皮膚に連続する、瘻管のことです。細いトンネルを想像していただくと解りやすいです。

痔瘻はどうしてできるのですか

肛門の組織には肛門腺があり、粘液を産生して肛門に分泌します。ちょうど、唾液腺でつくられた唾液が口腔内に分泌するのと似ています。この肛門腺が細菌感染して、膿だまりとなったものが「肛門周囲膿瘍」です。そして、膿だまりが肛門の外側の皮膚から排出して、瘻管になったのが痔瘻です。痔瘻にはいくつかのタイプがありますが最も多いのが「低位筋間痔瘻」です(図1)。

どのような人が痔瘻になりやすいのですか

軟便または下痢がちの方に多く、若年から中年の男性に高頻度です。

痔瘻はどのように診断するのですか

外来診察でおよその診断が可能です。指で触ると瘻管が硬く触れるのです。瘻管の構造をみるために有効なのが、肛門超音波検査です。親指くらいの棒状のプローベというものを肛門にいれて画像を撮影します。痛みも無く、外来で短時間に容易にできますので便利です。肛門超音波検査で瘻管の構造が不明な場合は、MRI検査をします。

痔瘻はどのように治療するのですか

痔瘻は原則的に手術で治す病気です。でも初めて痔瘻になった方は、自然に治癒することがあるので、少し経過をみる必要があります。2~3か月の経過で治癒しなければ手術を考慮することになります。また、瘻管からの膿の排出が持続するか、または繰り返す場合は手術が必要です。

痔瘻の手術方法を教えてください

  1. 1 .切開・開放術:瘻管を肛門括約筋も含めて切開・開放する手術です。開放後に瘻管の表面にある、炎症のある不良な組織を取り除きます。この手術は再発が少ないとされ、広く普及している手術ですが、欠点は肛門括約筋が一部切れてしまうので、手術後に便失禁やガス失禁をきたす恐れが指摘されています。
  2. 2 .括約筋間瘻管結紮術(かつやくきんかんろうかんけっさつ):内肛門括約筋と外肛門括約筋の間で、瘻管をしばって、外肛門括約筋より外側の瘻管を切除する方法です。ゴム輪を通して汚染した体液が排出するようにします。この方法の利点は肛門括約筋を切らないので、肛門の締まりに変化はありません。欠点は切開・開放術より再発がやや多いことです(図2)。

入院期間はどのくらいですか

手術のために行う麻酔は通常、脊椎麻酔です。麻酔後はすぐに自立歩行ができませんので、どの手術も最低1泊2日の入院が必要です。手術後の痛みが大きい場合には2泊3日になることがあります。

退院後の通院はどうなりますか

退院後1週間後に外来受診していただきます。その後2~3回の受診が必要で、全体で2~3か月を要します。

手術をしなければどうなりますか

当然のことですが、痔瘻の症状が続くことになります。また、10年以上にわたって痔瘻による炎症が持続する方で、まれに「がん」が発生することが報告されています。

直腸肛門外来のご案内

亀田総合病院 消化器外科部長 角田明良