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アドバンス・ケア・プランニングは誰のため?

2016/3/1

アドバンス・ケア・プランニング=将来の意思決定能力の低下に備えて、患者さまやそのご家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合うプロセス(過程)。もしバナ≒もしものための話し合い。

アドバンス・ケア・プランニングを行う上で大切なポイントの一つが「個人の意思の尊重」です。どんなに歳を取っても、病気や怪我で後遺症を抱えたとしても、私たちは一人ひとりが生命、自由、幸福を追求する権利を持っており、それが最大限尊重されています。(幸福追求権:日本国憲法第13 条)

あなたに“もしものこと”があった場合、例えば病気や事故で病院に運び込まれた場合でもそれは同じです。私たち医療者は“その時”の本人の意思を最大限尊重して治療にあたります。

“もしもの際の代理人”

では、もしもあなた自身が何らかの原因で自分の意思を表明できない場合、例えば脳出血や脳梗塞で意識はあっても会話や意思を伝える能力が無くなってしまった時はどうなるのでしょう。その場合は、おそらくあなたのこと(推定意思)を最もよく知る人物(意思決定の代理人)が、あなたに代わってあなたの意思を表明し決定することになります。

今のあなたにとって、意思決定の代理人は誰でしょうか。家族の誰かですか? もしくは家族以外の誰かですか?今、あなたの頭に浮かんだ「その人」は、今現在、あなたのことをどのくらい理解していますか。今、あなたにもしものことが起こった場合、「その人」はあなたの意思決定の代理人という大事な役割を果たしてくれるでしょうか。

“渡す準備と受け取る準備”

運動会のリレーを考えてみてください。バトンを渡す人が頑張って準備をしていても、渡される人の準備ができていなければ、受け渡しはうまくいきません。

「もしもの場合」にもこれは当てはまります。実際、人生の最終段階において、本人が自分の受けたい医療についてきちんと意思表示をしていても、家族がそれを受け入れることができず、結果として本人の意思が治療に反映されないケースがあります。もちろん事情は様々で、その結果自体の良し悪しを論じることはできません。ですが、少なくとも現代の日本において、人生の最期まで自分の望み通りに過ごすためには、相当な努力と時間と運が必要と言っても良いかもしれません。


アドバンス・ケア・プランニングは、医療を必要とする高齢者や治癒不能の病を患った方々のために行われるものと思われがちですが、実はこの話し合いは“代理人”となる家族や近しい人のためにもなる、ということが研究結果で報告されています。(Detering, BMJ, 2010(注1))
それに加えて人生、いつ、誰が(ここで言うところの)本人/代理人の立場になるかわかりません。その点で、現在、医療を必要としないような若い人、元気な人にも、このアドバンス・ケア・プランニングについて知ってもらう必要があると私たちは考えています。

『あなたは、家族や大切な人が考えて決めた意思決定を、“全て”尊重することができますか?』

今現在、「もしもの時のこと」を、「自分自身」のこととして考えることが難しい人でも、「代理人」の観点から考えることで、話は変わってくるのではないでしょうか。そして、家族や大切な誰かの「もしもの時のこと」を考えたり話し合ったりすることは、アドバンス・ケア・プランニング以前に、今を生きる上で大切な“何か”をあなたにもたらしてくれるかもしれません。

(注1)http://www.bmj.com/content/340/bmj.c1345.full.pdf+html
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亀田総合病院 Advance Care Planning in AWA プロジェクト代表 蔵本浩一

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