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安房の生き残りをかけて (亀田総合病院長 亀田信介) 2015/05/11

亀田総合病院長
亀田信介

日本でもようやく人口減少問題の深刻さが認識され始めましたが、時すでに遅しと言わざるを得ません。長期にわたる低い出生率を急激な長寿化がカバーし、表面上の人口が維持されてきたことを良いことに、少子化対策に本気で取り組んでこなかったツケが、これからの日本を容赦なく襲います。

100年後の日本の人口は3千万人から6千万人の間と予想されており、若者の人口が減ってしまった現在、多少出生率が上昇しても急激な人口減少は止まりません。一方大都市への一局集中はさらに進み、多くの地方自治体が消滅すると考えられています。このような状況下に至ってようやく地方創生の議論が始まりました。

この真意は、今までのようにすべての地域を横並びで守るのではなく、生き残るべき価値のある地方と、なくならざるを得ない地方を選別しようとするものです。安房地域は毎年1,700人を超える人口減少が続いており、このままでは消滅してしまいます。それも遠い将来の話をしているわけではありません。とにかく人口減少に歯止めをかけなければ持続可能な地域を作ることはできません。

安房地域の強みは東京に近いこと、気候は温暖で風光明媚なこと、土地が比較的安価で十分残っていること、医療・介護サービス提供及び人材養成が充実していること、人口に比較し大学やセミナーハウスが多いこと等が上げられます。一方、ひとり勝ちに思える東京にも弱みはあります。出生率は1.13と日本最低であり、家賃の高さ、通勤時間の長さ、夏の猛暑、更には今後介護問題が日本で最も深刻になると予想されるなど多くの課題を抱えています。これら東京の課題を解決するために役立つ地域をめざし、東京と安房がwinwinの関係になれば、飛躍的な発展も夢ではなくなるでしょう。

例えば、国で進めている「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のひとつとして、米国で始まったCCRC(Continuing Care Retirement Community)の日本版が検討されています。このプロジェクトは、高齢者が健康時から移り住み、介護や医療が必要になっても継続的に様々な支援サービスを受けながら、生涯学習や社会活動に参加できるようなコミュニティ(地域社会)を作ろうとするもので、米国ではすでに2,000カ所以上存在しています。

医療、介護、環境、教育、距離のどれをとっても当地域は東京のビジネスパーソンをターゲットとしたCCRCに最高の条件がそろっていると思います。また、出生率の低い東京に子育て世代の人口が集中したら、日本の人口減少に拍車がかかることも考えられます。現在は遠隔地でも何の問題もなく作業ができる仕事が多く存在します。子育てのためにキャリアを捨てることなく、仕事を継続できる環境を作ることは、会社にとっても社会にとっても個人にとっても非常に有益なことです。東京との距離感を考えても、当地で圧倒的に充実した子育て支援の環境を作れば、会社機能の一部が移転してくることも十分考えられます。その第一弾として子育てOURSプロジェクトに取り組んでいるところです。

現在の安房は虫垂のように取り残された田舎かもしれませんが、首都圏の端っこにある大きな潜在価値を持った地域です。今後さらに一局集中が進む東京にとって「必要不可欠な田舎」を作ることが、地域の生き残りにつながることは間違いないと思います。

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