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今こそ求められる明確なビジョンと行動力 (亀田総合病院長 亀田信介) 2014/05/01

亀田総合病院長
亀田信介

今年度は、医療機関にとって消費税増税による経済的環境の悪化と、診療報酬改定に伴う要求内容の変更により、将来に向けたビジョンの明確化を迫られる年となりました。

消費税は本来最終消費者に転嫁されるものですが、医療は非課税となっており、そのために医療機関が購入する薬剤や診療材料、高額な医療機器、さらには施設整備等に課税される消費税は、控除対象外消費税としてすべて医療機関の負担となります。

当院では消費税5%時点で8億円強だった負担が、8%では年間13億円を超えます。行政は診療報酬で補うと言い続けてきましたが、今回の改定ではほとんどカバーされず、かなりの負担が医療機関にのしかかっています。

そもそも消費税と診療報酬を関連づけて議論すること自体に無理があります。と申しますのも、診療内容によって、消費税の影響はだいぶ異なるからです。もちろん高額な診療材料や薬剤を必要とする高度医療では、その影響は大きくなります。さらに、今後消費税が10%に引き上げられることはほぼ確実ですし、将来的には20%程度まで覚悟しなければならないでしょう。従って、今こそ早急かつ抜本的見直しが必要なのです。

税制度には「公平、中立、簡素」という3原則が求められます。食料品をはじめとした生活必需品と、ブランドバッグや高級衣類といった贅沢な嗜好品が同じ税率で果たして公平と言えるでしょうか? 消費税率が20%を超えるヨーロッパ諸国では、品物によって消費税率が異なるのが一般的です。医療や福祉施設における控除対象外消費税の問題など、専門家でもない限り理解不可能な難解なものを、さらに税と関係のない診療報酬と絡ませるなど、簡素という概念からもほど遠いものになっています。

私どもは、今後の超長寿社会における持続可能な社会システム構築のためにも、国民に開かれた議論を行政に対して行ってゆこうと考えています。

診療報酬改定においては、7:1看護病棟(※)における施設基準の大幅な見直しにより、現在約33万床存在する7:1病床を9万床以上減らす方針を打ち出しました。確かに急性期医療を行っていない多くの医療機関が、診療報酬的に有利という理由だけで7:1看護基準を取得し、無駄な医療費の増大や、急性期医療を担っている医療機関の看護師不足を招いていることは大きな問題です。しかし今回の大胆な方針転換で、医療現場にどの程度大きな影響と混乱が生じるかは今だ不透明です。

行政は「地域包括ケア」というコンセプトに基づき、医療機関や介護施設の類型化と役割を明確化し、できるだけ在宅へ誘導しようと考えています。コンセプトは間違っていませんが、高齢者の孤独化、独居化、貧困化が進む現在、現実的には様々な問題が生じてくると思います。求められる地域包括ケアシステムは、地域ごとの様々な状況によって異なります。今回の増税や診療報酬改定が南房総地域にとって悪影響をもたらすことを防ぐためにも、当地に必要な地域包括ケアシステムの賢いプランニングの構築を急ぎたいと思います。

※7:1看護・・・入院患者さま7人に対して、常時看護師1人以上を配置するというもの。従来の「10対1」 よりも手厚い看護体制であり、高度医療への対応や、医療安全の確保を図ることにより、より安全 で信頼できる看護の提供が可能。

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