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国家最大の危機は「低出生率・人口減少」  (亀田総合病院長 亀田信介) 2013/11/01

亀田総合病院長
亀田信介

年金、医療・介護、福祉等の社会保障制度は高齢化の進展にともない破綻寸前であり、制度改革に向けた様々な議論が行われています。しかしその前提として、少子化や人口減少はある程度仕方がないものとされているように感じます。

高齢者人口と労働人口の割合は、社会保障の制度設計において最も大きな要素です。国の示す将来人口予想を前提とすれば、長期的にはサービスの給付を減らさざるを得なくなります。そして更に重要なことは、予想通りに人口減少が起こったら、日本の国力はどうなるかということです。資源の乏しい日本にとって最大の財産は優秀な人材です。この人材が縮小したら日本の国力は減衰し貧国となるでしょう。つまり、このような前提に立っていくら議論しても、貧国となった国に十分な社会保障などできるはずはなく、前提条件を変える必要があります。

そのためには何よりも先に出生率を上げ、人口減少を止め、優秀な人材を育てるための抜本的な政策転換と制度設計が必要です。さまざまな意見があると思いますが、日本が貧国となってしまったら、最も早く影響を受けるのは弱者です。社会保障は豊かな国だからこそ可能なのです。現実的かつ確実な出生率向上の戦略を早急に行う必要があります。実際、先進国における国際比較において、日本の社会保障費の使い方は、高齢者に厚く、子育てや教育に対して非常に薄くなっています。保育においても、いまだに「措置」といった古い概念や時代錯誤の言葉が並んでいます。共働きで1千万程度の年収があると、ほぼ上限の保育料を徴収されます。このようなカップルにこそ、さらにもう一人の子育てを期待すべきだと思います。

また高等教育における家計負担が非常に高いのも特徴です。何と北欧の7%に比較し日本は50%を超えています。つまり、大学に進学させるためには、大金が必要だということです。しかし、政治的には選挙結果に最も影響を持つのは高齢者や弱者であり、忙しく共働きをしている若者ではありません。現在の選挙制度では、抜本的な政策転換はかなり困難だと思います。しかし、残された時間が少ないことも事実です。若者たちがもう一人子供を作った方が得だと感じる社会を早急に実現しなければなりません。

そこでひとつの提案があります。それは所得税控除制度の活用です。たとえば1人目の子供は年間100万円の控除、2人目は200万円、3人目は300万円といったように、控除額を増やし、さらに保育料や学費を控除対象とする案です。金持ち優遇という非難はあると思いますが、共働きで働くことと、子供をもう一人育てようというインセンティブを同時に与える制度は、とりあえず無理なく出生率を回復させ国力を増強する手段としては効果的だと思います。もちろん子育てサービス提供体制の充実や、弱者救済の制度を同時に作ることは不可欠です。急激な長寿化とIT革命による社会構造の変化は、私たちに抜本的な改革を求めています。そして最も大きな問題は、低出生率による人口減少であり、次世代を支える人材を育てることこそが、待ったなしの課題であることを全国民が認識すべき時だと思います。

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